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テント倉庫の「基準」とは? 国土交通省告示第667号を徹底解説
テント倉庫の設置を検討する際に最も重要となるのが、建築基準法に基づく各種の規定です。 特に、テント倉庫建築物として認められ、設計上の緩和措置(特例)を受けるための基準が「国土交通省告示第667号」に定められています。
1. 667号告示が定める「テント倉庫建築物」の適用条件
667号告示の例外を適用するには、テント倉庫が以下のすべての条件を満たす必要があります。この条件を満たさない場合は、一般的な建築物と同じ厳しい基準(告示第666号など)が適用されます。
| 項目 | 基準 | 目的・ポイント |
| 用途 | 倉庫用途に限定 | 常に人が滞在する事務所や店舗などには適用不可。 |
| 階数 | 1階であること | 避難の容易さを確保するため。 |
| 延べ地域 | 1,000㎡以下であること | 大規模建築物に対する安全基準緩和を優先するため。 |
| 軒の高さ | 5m以下であること | 風荷重などの構造計算上の安全を確保するため。 |
| 屋根の形状 | 切妻、片流れ、または円弧のいずれかであること | シンプルな形状に限定することで構造計算を簡略化。 |
| 構造 | 鉄骨造の骨に膜材料を定着させること | フィルム材の固定方法にもきちんと規定あり(確保など)。 |
2. 667号告示の特例(緩和措置)によるメリット
上記の条件を満たすテント倉庫は、一般的な建築物には無い以下の緩和措置を受けることができます。これが、テント倉庫が低コスト・短工期で建設できる最大の理由です。
- 設計風速の低減
- 通常より低い設計風速(基準風速の0.8倍など)で構造計算が可能です。これにより、鉄骨の量を減らすことができ、コストダウンができます。
- 適合性判定(ピアチェック)の不要化
- 特定の条件(トンネル8m以下など)を満たす場合、構造計算書専門家によるチェック(適合性判定)が不要となり、確認申請にかかる時間と費用を削減できます。
- A施工アンカーの使用可能
- 基礎への固定に、後から施工するあと施工アンカー(メカニカルアンカーなど)の使用が認められています。これにより、基礎工事の工程が簡略化され、工期の短縮に貢献します。
3. 建築確認申請と消防法基準
テント倉庫は、その構造上、建築基準法**「建築物」上として扱われます。検討、設置に関しては原則として役所への建築確認申請**が必要です。
建築確認申請の必要性
- 原則:建築確認申請が必要です。
- 例外: 防火地域・準防火地域以外のエリアで、増築・改築・移転にあたりその床面積が10㎡以内の場合などは、申請が不要になる場合がございます。 ただし、都市部などではほぼ申請が必要となるため、計画前に確認が必須です。
消防法基準
テント倉庫は、使用や延べ面積に応じて消防法規制も受けます。
- 膜材:使用する膜材は、原則として防炎認定品(厚さ0.45mm以上など)である必要があります。
- 消防設備:延べ面積が大きくなると、設置が義務付けられる消防設備が増えます。
- 例:消火器、火災報知設備、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備など。
- (例)500㎡以上で火災報知器が必要になるなど、地域によって設置義務が変わります。
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